iPad

2022.2.14

 iPadが発売されてからiPadを買うまでは、かなり長かったように思います。必要ないと思っていたのです。

 生来、演奏中に自分の横に譜めくりの人がいる事がどうも苦手です。以前、譜めくりの人がついてしまう本番で、どうしても (本当は弾く必要がないけど欲しいのに) 手が足りない所があって「めくらなくていいからこの音 (低音で譜めくりの位置からとても弾きやすい、しかもたった一音) をこのタイミングで弾いてくれ」とお願いして断られた時からもう「ピアノを弾くときに譜面をめくる人が居る必要が自分には無い」と、あらゆる方法を使ってなるべく楽にセルフで譜めくり出来る譜面を整備するに至りました。

 元の譜面が大概A4強のサイズで、それを50%に縮小すればA4一枚で4ページになってくれます。必然的にめくりの回数もグッと減りますし、任意のタイミングでめくるような製本も可能という事でしばらくやっていました。

 そこに来て、iPadで譜面を管理出来ると知り、ちょうどその時ベルリンフィルのアプリに課金した事もあったので、疑心暗鬼ながらiPadを購入したらもう。その快適さに脱帽致しました。iPadを横向きにして譜面を二ページ分表示するともちろんA4サイズよりは大分小さくなりますが、以前は最小50%の縮尺で見ていたし、ミニチュアスコアやなんかよりも音符はよっぽど大きい。しかも、1ページずつ譜面を先に送れるのが最強です。

 ……が、やはり心配は心配でした。iPad (またはアプリ) が演奏中に「落ちる」事があると聞きましたし、結局二年くらいは試験的に使いながらも予備で紙の譜面を置いたりしていました。使っていくうちに、また、他の人の話を聞くうちに「本番中は電圧の変動があるような電源に繋がず、なるべく他のアプリを起動していない状態で、普段からエロいコンテンツを違法にダウンロードしない(当然私には関係ない話です)」という事を守れば不意に落ちる事はないであろうという結論に至り、実際今でも演奏中に落ちた事はありません。

 譜めくりペダルも沢山試しました。どうにも数十回に一回、2ページ一気に捲れてしまう事があったのですが、最近そういう事が起こらないペダルを発見。割と普段から真ん中のペダル(ソステヌートペダル)を多用するタイプなので、それとソフトペダルを同時踏みしている時は手でも捲れるという都合の良さ。慣れれば本当にもう離れられない。譜面台を立てなければそれだけピアノの音も入ってくるし。

 iPadで譜面を見る事を反対する方達に対して一応書いておきますが、基本的にIMSLPやなんかでタダで落とした譜面は本番で使用致しません。購入した譜面をコピーして、スキャナでPDF化して使っております。無論、そのデータは自分の演奏以外の用途では使っておりませんので悪しからず。