2025.3.29
匂いの記憶が特に強い。
雨が降った後の植物や土の匂いについては自分でも驚くほど細分化されているらしく、香り毎に違った記憶が頭を過ぎる。また、湿気の溜まった時の木の床の香にも特別な感慨が起こる。
幸い今はそこまで自然に囲まれている生活をしているわけではないので、上京前の欝屈した思い出が展開される事は滅多に無いが、ふと回り道をしてちょっと木々が生い茂った所を通った時の不意打ちはしばらく精神にダメージを与えてくる。
今住んでいるマンションのエントランスは板張りの床で、雨が降った時のフレグランスは独特な刺激を私の脳に与えてくる。どうしてだろう。
思えば雨が降って湿度が高まった時、そして雨が上がって湿度が徐々に減っていく時に私のセンシティブな記憶は特に活性化される。そう言う時にメロディが浮かんだりするからまぁ良いっちゃ良いのだが気分が良いわけでは無いことが多いので複雑である。
新品のヘンレ版の紙の匂いはまだまだ克服するのに時間が掛かるだろう。
あれだけは別に一生嗅げなくても良いと思ってしまう。
逆にウィーン原典版の匂いは好きだった。
あと、日生劇場の地下楽屋に行くまでの匂いも好きではないが嫌いではない。特にそこで何か思いつくわけでもないので思い入れはないが、あれが無くなるとなったらきっと悲しい。どうしてだろう。
どうしてだろう。
どうしてだろう。