五楽器の為のディヴェルティメント

2025.3.29

「五楽器の為のディヴェルティメント」は一昨年の頭に武蔵ホールでやった「新春特殊管フェア」の際に書いたものだ。
改めて見ると狂っている。そもそも引用の嵐だ。引用もあれば悪質なオマージュもある。

 一曲目は明らかに「四羽の白鳥の踊り」を意識している。ピアノは一音も出さずじまい。
 二曲目はもっと酷いが一部のマニアから好評を博している楽章でもある。これはただの編曲でしかないが、コントラファゴットの使用法としては宇宙一正しい用法の一つであると自覚している。
 三〜五曲目は割と真面目に書いた、と書こうとしたがとんでもない。
 四曲目ではオネゲルの交響曲第三番「典礼風」の (ある出版社の解説内では)「ロボット化の主題」をそんまんま引用している。
 五曲目ではタイトル通りピアノが無意味にBGM的な音楽を奏でるが、そこに大した意味合いが無いと言うのもミソである。
 終曲は、明らかに「ローマの松」みたいな状態だ。クライマックスで各楽器がそれぞれ持ち得る低音の華を披露するのは圧巻だと思うが、主題の何とも言えない間抜けさと愛らしさも特筆すべき要素だと思うしどうしようもないポイントとも言える。

 散々こき下ろしたかのように見えて、私はこの曲が大好きだ。誰がなんと言おうと調性音楽としては適切な楽器法を駆使していると思う。

 特殊管フェアはまた開催したいと思っていて、次回は「スーパー特殊管フェア」として、倍の人数で低音を轟かせようと思っているが、予算面で躊躇している感が否めない塩漬け物件なのだ。