五重奏曲 (Fl. Ob. Cl. Vc. Pf.)

2026.4.4

 こんな編成のものを誰が取り上げてくれるのだろうか……と思っていたらお問い合わせを頂いたので販売を開始致します。

 連続して名前を出しますが、これも「アンサンブル・メガ ネ」とは切っても切れない作品の一つです。詳しくはまもなく書きますが、この団体は「ホルンの友達がいない」という所から始まった木管四重奏+ピアノの団体でした。ところがそんな最中、ファゴットの小林佑太朗氏がめでたくも大阪に越すことになり、低音が気軽に呼べないとなった所にチェロを入れる……という極めて安直な発案により発生したのがこの編成です。前例はほとんどありませんが、室内楽としては十分に成立する編成です。
 結果、個人的にも「決して超えられない山」の一つが出来た、というのがこの五重奏曲。2026年4月の時点でこの曲を聴けるのは私の室内楽作品集の第三弾をご購入頂いた方のみという事になるのですが、手前味噌ながら、これはなかなか良い曲だと思っています。
 三楽章構成で、第一楽章はソナタ形式、第二楽章が変奏曲で、第三楽章は無窮動的楽章です。

 販売に際しまして二箇所、留意して頂きたい点がある譜面です。どちらも第二楽章に説明が不可欠な箇所がございます。
 まず第七変奏の豆譜(ガイドとも言いますが)は、スコアを見れば一目瞭然。それらは各パート、全てが間違えています。是非真面目に豆譜を凝視して「すわ間違えたか!?」と目を白黒させていただければと思います。
 そして第十三変奏は、これは確実におふざけです。CDでもカットして演奏していますし、公開演奏でも一度も演奏した事はありませんので、皆様もカットして演奏されることを強くお勧めします。

 例えば、ですがプーランクのソナタを並べましてですね(チェロソナタは重すぎるかもしれませんが)、そのシメにこれを置くと、なかなか良い締まり方をすると思いますよ。

 

 以下、初演当時のブログラムノートを多少の注釈入りで載せておきます。

第一楽章
 何となく牧歌的な雰囲気のソナタ形式。展開部で楽しくなって展開し過ぎないようには心掛けましたが…。

第二楽章
 単純な変奏曲。
 単純な主題を作るほど難しいこともなかなかありません。自分がこれから変奏しようとする大事な主題に思い入れを詰め込み過ぎてしまうと、展開の余地がないという理由なのですが、自分がこれから扱う主題に魅力がないのもそれはそれで考えものではあります。
 メガ ネの演目内の「ギャグ」担当の性格を持つ真面目な作品は出来ないものかというのは以前からの懸案事項でして、どうせならそういう変奏曲にしたいなぁと思い構成してみました。方向性はモーツァルトの「音楽の冗談」くらいのノリです。参考までに各楽章のコンセプトを列挙しておきましょう。

第一変奏 : 普通に変奏。まだ第一変奏ですから。
第二変奏 : 高音。
第三変奏 : 対話の変奏、調的な不意打ち。
第四変奏 : 第三変奏を受けての普通の変奏だと思っています。結構お気に入り。
第五変奏 : 急に重い。短調なのは別に変奏曲では普通なのでギャグとしては不成立。
第六変奏 : ロマン、性格変奏の醍醐味だと思っています。これも普通の変奏。
第七変奏 : いまどこ?
第八変奏 : 雑な変奏。いや、雑って言うな。これでも変奏と言い張れば変奏なのです。個人的には一時期こういうタイプの事がフランスで流行っていた気がします。主にプーランクあたりで。
第九変奏 : バグパイプ的な。何故か近所の公園でバグパイプを吹いてる人が居たことに触発されて。←この変奏は「室内楽作品集第三弾」の篠原氏の演奏以外の正解があるならば聴いてみたい、という気持ちです。
第十変奏 : こんなのはギャグでもない五拍子。
第十一変奏 : 明らかにふざけてる音だけど別にギャグではない。
第十二変奏 : めちゃめちゃ難しいことしてるのにそう聞こえないで欲しい。
フィナーレ

第三楽章
 ベートーヴェンのクロイツェルソナタへの愛が前面に出過ぎました。
 ベートーヴェンは開祖、シューベルトが意志を継ぐものでメンデルスゾーンは神、チャイコフスキーは実はめちゃめちゃデキると言えば、無窮動的楽章です。要は「早い楽章」なのですが、彼らの書いてきたそういう楽章は、強制的にどんどん前に進まなければならない絶対的推進力の中にあらゆるドラマ(しかも本人が出そうとしていないはずの個人的内容)が詰まっているような気がして、聴いていて全く飽きることがありません。自分でもいよいよ堪らなくなって、被りを恐れずに書いてみたら、結果的にかなり開祖に倣うものになってしまいました。