2026.4.4
全く同じ編成で書いているのがマルティヌーのみ……という、かなりニッチな楽曲。書いてからその事を知って恐る恐るマルティヌーのものを聴いて一安心。方向性は全く違うのでこれなら演奏会で並べてもらえるかもしれないとまで思っています。頭文字もMですし。
譜面のお問い合わせを頂いて今回アップする事にしましたが、一体どんな奇特な方が……と思いつつも、この四つの楽器が揃う機会自体は、実はそれなりにあるものです。
そういう場合、大抵はその編成のオリジナル(この場合はマルティヌー)で終わらせるか(全員で〆た方が良いのは間違いありません)、その編成に合わせてある市販のアレンジ譜面でお茶を濁すかのどちらかの選択肢しか一般的には残されていません。←これでもオブラートに包んだつもりです。笑
学生の頃はじつに沢山の演奏会で伴奏をさせて頂いたものです。そういう時のアンコールで童謡やアニメの曲など耳馴染みのある曲をやる際に、その編曲をしたいと申し出ても何故か断られることが多く、その結果どうしても「間に合わせ」のような音楽になってしまう場面に多く立ち会ってきました。
似たような種類の話で、ミュージカルの現場で主要キャストの誕生日があると、「ハッピーバースデーをオケで演奏してください」という事があります。かなりの頻度で。一般的にはそうなるとキーだけ決めて、オーケストラの方々がそれぞれ「この辺だろう」という所で何となく演奏するようです。
そういう時に私は必ず(たとえ当日に言われたとしても……今度からはせめて前日までに教えてくださいと、毎回どれだけ言ってもどういうわけか当日にしか知らされないのですが)譜面を用意するようにしています。実はつい先日、油断していてパソコンを現場に持ち込んでいなかった時にそういう話が持ち上がったのですが、カンパニーの写真撮影を優先してくれたおかげで不敗神話は守られました。油断は禁物です。
即興的な楽しみもあるのは承知していますが、譜面に基づいて演奏する人たちが集まっている以上、その方が音の決まり方が違うと感じています。
話を戻しましょう。この四重奏曲はアンサンブル・メガ ネ時代の作品です。そのうち書きますが、メガ ネは私の作曲人生に於いて最も重要な団体でした。
知る人ぞ知る「ファミリーマートの主題による変奏曲」をはじめとするギャグ的な演目を中心に置いたプログラムでしばらくはやっておりましたが、やがてその中にギャグとは言い難い風体の「まともな新曲」が混ざるようになり、そうなると「ウケ狙い」の楽曲の方も全力投球をせざるを得ず(もちろんやりたくてやっているわけですが)、その相互作用で最終的には今振り返ってもかなりの精度の楽曲群が残りました。
もし当時の譜面を出版でもしていたら、それこそ風変わりな編成の演奏会で「お茶を濁す」には重宝されている事でしょう。
しかしこの四重奏に関しては違います。初演時の演奏会に乗るメンバーはまだ他にいたにも関わらずわざわざこの編成で書いているのです。
もともと管楽器とピアノだけだった編成にヴァイオリンとチェロが入ってきた最初の三大都市ツアー(笑)で舞い上がり、ピアノトリオを書くのは好きなので、その延長でそこにオーボエがいたらより広がるだろうという考えで書いたに違いありません。しかしながらどうでしょう。
管楽器にブレスが必要であるという事を最近知った私の楽曲とは思えないほどオーボエが吹いていない時間が長いではありませんか。第一楽章は2017年に発表されており、つまりその直前に書かれたものですが……実に配慮に満ちていると思いませんか。今の自分が書くよりもよほど。笑 (第一楽章はYouTube上で聴くことができます)
やたらと息の長いフレーズはもちろん健在ですが、それぞれの楽器がちゃんと協奏している実感の持てる仕上がりとなっていると考えます。
全二楽章というこれまた微妙な構成ですが、実は二楽章はこれまで一度しか演奏されていないし、その時の録音も貰っていないので私はまだこれを聴くことはできないのです。
全体を通して朗誦的な旋律を歌い継いでいく第一楽章に、主題自体はそのまま持って来た快活な第二楽章。それぞれ抜粋しても問題はないでしょうし、下手したらその方が良いかもしれなかったりします。
少なくとも、いずれ「この編成……森があるじゃん!」と、なってくれる事を祈って。