「ザ・ミュージック・マン」所感

2023.6.2

 終わってしまいました。ザ・ミュージック・マン。

 誰かが舞台上で亡くなる (またはその直前の状態まで「物理的に」傷付けられたり、一旦亡くなる事を示唆したりする) ような作品にしか関わってこなかった自分としては、心から待ち望んでいた完全ハッピー終止の演目は大変嬉しく、また作品 (音楽) としてもトラディショナルなスタイルを貫いているので、大変興味深く関わらせて頂きました。

 大千穐楽直前に話していて気付いた事なのですが、この演目、明らかなる短調のナンバーが一曲も無い。
 短調の印象を与えるような状態でマイナーコードが鳴らされる事も無ければ、ハロルドが逮捕されるみたいなシリアスになりかねないシーンですらマイナーコードは使われない。あるとしたら和声の機能上そこを通過するだけの時くらいのもの。(あくまで個人の意見ですよ)

 作品自体が極めてハッピーな状態の連続で構成されていたのだと気付くと、作品自体の持つ基本的な陽のエネルギーと、66年間ほとんどそのままの形で残されている編曲の普遍性が殊更愛おしく感じてしまい、終わらなきゃいいのになぁと心から思える作品でした。あんなに大千穐楽の回で一曲毎に「終わってしまった……」と思うことも稀なのです。

 また再演やらないかしら。

 久しぶりにエッセイと名乗って良い分量なのでは?と思いましたが、ちょい短いかもしれませんな。